オーガニックと無添加はどう違う?似ているけど違う、ビオや自然食品など紛らわしい用語をまとめて解説

はじめに
スーパーやカフェでよく見かける「オーガニック」「無添加」「ビオ」という言葉。
なんとなく体に良さそうですが、実際にはどう違うのでしょうか?
この記事では、似ているようで定義や考え方が異なるこれらの用語を整理して解説します。
有機栽培・自然農法・環境配慮に関する用語
オーガニック(有機)
- 農法:化学農薬や化学肥料を使わない農法。
- 目指すこと:環境への負荷を減らし、土壌や生態系の健康・多様性を守り、人々の健康的な生活につなげる。
- 認証:「オーガニック/有機」と名乗るには、国ごとの基準を満たし認証が必要(日本では有機JASマーク)。
自然栽培
- 農法:農薬・肥料を一切使わず、自然の力に委ねる。オーガニックよりさらに厳しく、有機肥料も認めない。
- 目指すこと:自然の働きを最大限に活かし、永続的な生産を行う。生命や環境への敬意を重視。
- 特徴:行政や第三者機関による基準や認証は存在しない。
ビオディナミ(バイオダイナミック農法)
- 農法:オーガニックを基盤に、天体の動きや特製調合剤を取り入れる哲学的農法。
- 目指すこと:自然環境と宇宙のリズムの調和を追求し、生命力あふれる農地を育む。
- 特徴:月や惑星の動きに合わせて農作業を行う点が大きな特徴。国際的には「Demeter(デメター)」認証があり、特にワインや野菜、畜産で採用例が多い。
サステナブル(持続可能な農業)
- 農法/考え方:「環境」「経済」「社会」の3側面から、将来にわたり無理なく続けられる農業のあり方を指す。明確な認証はない。
- 目指すこと:「今の豊かさ」と「未来への責任」を両立し、持続可能な社会を築くこと。環境保全だけでなく、労働環境や地域社会への配慮も含む。
- サステナブル=理念や在り方そのもの(抽象的・長期的な方向性)
- SDGs=国連が掲げる具体的な国際目標(2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲット)
👉 SDGsは、サステナブルを実現するための具体的な指標
食品加工に関する用語
無添加
保存料や着色料など、特定の食品添加物を使っていない食品。
ただし「すべての添加物不使用」という意味ではありません。
食品添加物には、
- 加工段階で消失する「加工助剤」
- 原材料由来で品質保持に直接役立たない「キャリーオーバー」
- 栄養強化目的で使われるもの(ビタミンなど)
といった表示義務が免除される添加物もあるため、注意が必要です。
完全無添加
一切の食品添加物を使用していない食品。ただし加工食品では実現が難しく、表示上「完全無添加」とされていても、実際は原材料の一部にキャリーオーバーなどが含まれる場合もあります。消費者は表示や原材料欄をよく確認することが大切です。
自然食品(ナチュラルフード)
精製度を抑え、できるだけ自然に近い食品。必ずしも無添加とは限りません。
一般的には、
- 化学調味料や保存料をほとんど使わない
- 農薬や化学肥料を控えて栽培された農産物
- 遺伝子組み換えでない原料を使った加工食品
などが該当します。
ただし法的な定義や公的認証はなく、基準はメーカーや販売店ごとに異なります。
オールナチュラル
「すべて自然由来成分で作られている」というイメージの言葉。
法的基準や認証はなく、主にマーケティング用語として使われます。実際の成分や製造過程を確認することが大切です。
クリーンラベル
消費者に分かりやすい原材料表示を重視する考え方。
シンプルで理解しやすい表示とともに、化学合成添加物を避け、自然な素材を中心にした商品を指すことが多いです。
- オーガニック(有機食品)
農薬や化学肥料を使わずに栽培された食品。有機JASマークの認証が必要。無添加や自然食品と混同されやすい。 - ナチュラル(自然派)
厳密な基準はなく、自然由来成分を強調するマーケティングワードとして多用される。 - ヘルシー/健康食品
健康に良い印象を与える表示。法的区分(トクホや栄養機能食品など)がある一方、明確な基準がない場合も多い。 - トランス脂肪酸フリー
人工的に生成されたトランス脂肪酸を含まない食品。海外では規制が進んでいるが、日本では自主基準での表示が多い。 - グルテンフリー
小麦に含まれるたんぱく質「グルテン」を含まない食品。小麦アレルギーやセリアック病患者向けだが、健康志向から一般にも普及。 - プラントベース/ヴィーガン
動物性食品を使わず植物由来原料で作られた食品。環境や動物倫理の観点から注目されるが、必ずしも「無添加」や「自然食品」とは限らない。
ワインや飲料の関連用語
ヴァン・ナチュール(自然派ワイン/ナチュラルワイン)
化学的介入を最小限にしたワイン。認証基準は国や生産者によって異なり、品質に差がある。近年は醸造や瓶詰め工程に規定を設けた認証マークも増えている。
オーガニックワイン(有機ワイン)
有機栽培ぶどうを使用。主に「栽培方法」に重点が置かれ、国や地域ごとに認証制度あり。亜硫酸の使用量制限など規定もある。
ビオディナミワイン(ビオワイン)
ビオディナミ農法によるぶどうを使用。オーガニックワインより基準が厳しい場合が多く、「デメテール」などの独自認証がある。
ライフスタイル全般で見かける用語
ロハス(LOHAS)
健康と持続可能性を重視したライフスタイル。
エシカル
環境や社会的弱者に配慮した消費・行動。
フェアトレード
途上国の生産者を適正に支える取引。
まとめと大切なこと
オーガニックや無添加などの用語は、必ずしも「健康に直結するもの」ではありません。
これらはあくまで思想や価値観のひとつであり、大切なのは自分が納得できる範囲で取り入れ、暮らしを豊かにすることです。
表示やキャッチコピーを正しく理解し、こだわりに縛られすぎず、心地よい選択をしていきましょう。